バラスト水処理装置開発ストーリー

バラスト水処理装置開発ストーリー

すべて自社で設計したバラスト水処理装置 すべて自社で設計したバラスト水処理装置

バラスト水問題は解決するべき環境問題のひとつ。そう考えるミウラは、いち早くバラスト水処理装置の開発をめざしていた。 「私は図面を書くのが好きでしたし、ボイラの設計に携わりたくてミウラに入社しました。しかし、配属先はバラスト水処理装置の開発部署でした。当時はバラスト水問題すら知らなかったですね」
玉井の入社時、バラスト水処理装置の開発は佳境を迎えていた。協力会社の船に取り付けて試運転と改善を繰り返し、商品化をめざしていたのだ。
「入社時は先輩社員の多くが現場で試運転を行っていたため、社内に設計者がわずかしかおらず、朝から晩まで図面を書いていました。練習ではなく、実際に使われる図面です。改めて考えると、入社1年目から大好きな図面をたくさん書けて、しかもそれが新開発の商品だったのですから贅沢な経験でしたね」
社をあげて開発に取り組んだバラスト水処理装置は、玉井が入社2年目になる2014年に国土交通省(IMO:国際海事機関)の承認、AMS(USCG暫定認証)を無事取得し発表を迎えた。

バラスト水問題って何?
ミウラのバラスト水処理装置は、船底に設置される!積み荷を降ろした船舶はバランスを保つために海水を取り込みます。この「バラスト水」を到着後の港で排水すると、海水の中の生物類が排水地の生態系に影響を与えてしまうのです。ミウラは舶用機器に50年近く携わってきた技術を駆使し、バラスト水をクリーンに処理できる装置の開発に注力。2014年10月に見事、開発に成功したのです。バラスト水処理条約はIMOにより2004年に条約が採択され、まもなく条約の発効条件を満たす見込みです。

開発後も設計の仕事は続く 開発後も設計の仕事は続く

▲自らが設計した部品を手にロストワックス鋳造を熱く語る玉井

ミウラのバラスト水処理装置は、パーツ一つひとつまですべて自社設計。玉井にはコストダウンや品質向上を図る新たなパーツ製造法を見極め、量産化に貢献することが求められている。
「簡潔に言うと、形や素材を変えることなく、新たなパーツ作りを実現するのが私の主な仕事です。でもパーツって、ほんの少しの改良でも大きな設計変更なんです。以前、中国の会社にサンプル作りを依頼したときも大変でした。図面と異なるものになってしまったんです。作り直してもらう前に、実際に中国に足を運びました。言葉は通じなくても、ジェスチャーや顔を見て話すことでなんとか想いを伝えたいと思ったんです。部品を商品に組み込むことが設計の醍醐味だからこそ、絶対に手は抜きたくないですね」
バラスト水処理装置に搭載されている部品は100近い。その一つひとつは小さくても、量産化という視点で新たな製造法を確立できたら、お客様にとってのメリットは決して小さくない。バラスト水処理装置の普及拡大の命運が3年目の設計者の腕にかかっている。

量産化のポイントは細部に宿る!
量産化のための製造方法。その代表例として玉井が挙げたのは、「ロストワックス鋳造」です。パーツの最終形をロウで形作り、まわりを鋳物砂で覆い固め、ロウを溶かして除去することによってできた空洞に金属を流し込んで作る鋳物。原価を安くでき、それによってコストダウンを実現できます。ロストワックス鋳造に替えられる部品を見極め、そのための図面を新たに作成し、サンプルの品質をチェックする。そうした玉井の努力一つひとつがバラスト水処理装置の量産化を支えています。

量産化対応、そしてその先へ 量産化対応、そしてその先へ

ミウラのバラスト水処理装置の販売は順調に拡大している。その背景にあるのは専門知識なく扱える操作性への評価も大きいが、近い将来、IMOによってバラスト水をクリーン化する処理装置の搭載が義務化され、国際条約が発効すると見られていることも一因だ。
「憧れの仕事だったこともあり設計者としての日々にはやりがいを感じていますね。だけど、私としてはいつかバラスト水処理装置のモデルチェンジに携わりたいと思っています。1年目から心の中では「ムチャぶりだろ」ということが何度もありました(笑)。でも、そのおかげでだいぶ成長できた実感があります。その資産を活かして、もう一度ゼロから設計に関わっていくことが今の目標です」
ミウラのバラスト水処理装置を世界中のお客様の船へお届けする。その量産化を支えるキーマンにとって、日々の仕事はあくまでひとつの到達点だ。見据えているのは、その先の世界。この若き設計者にとって、バラスト水処理装置の歴史はまだまだ始まったばかりだ。

▲船底に設置されるミウラのバラスト水処理装置の実機とともに
よく「質問できるのは1年目まで」と言われましたが、私自身は今でもわからないことを人に聞いています(笑)。周りが個人の成長を大切に考えているからこそ、わからないことを何でも聞ける、そういう素直な人ほど成長できる会社だと思います。
ミウラってこんな会社! 同期の仲がいい

私と同じ部署に配属された同期は一人もいないのですが、20人くらいでよくノミニケーションを行っています。一緒に仕事をする機会は少なくても、同期入社の仲間とはすごく仲がいいですね。

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